従来のCNTと何が違う?コストと環境負荷を同時に抑える「持続可能なCNT」
次世代の高性能素材として世界中から期待を集めるカーボンナノチューブ(CNT)。優れた電気伝導性や熱伝導性、圧倒的な強度を持ちながら、これまで多くの産業で本格導入が進まなかった背景には、製造時に生じる「膨大なコスト」と「高熱処理による環境負荷」という二つの決定的な障壁が存在していました。
しかし今、従来の石油由来プロセスから脱却し、廃棄されたプラスチックを資源として再利用する「持続可能なCNT」への転換が始まっています。今回は、既存のCNTが抱えていた課題を整理したうえで、なぜ廃プラを活用したCNTが圧倒的な低コストと脱炭素・カーボンニュートラルを両立できるのか、そのメカニズムと現場での実装可能性について解説していきたいと思います。
このコラムでは、カーボンナノチューブについて詳しくご紹介させていただいている記事がございますので、カーボンナノチューブについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
https://www.future-earth.jp/cabon-nano-tube-nanotube
目次
これまでのカーボンナノチューブが使われにくかった「2つの理由」
製造時に電気や燃料を大量に使い、CO2が出てしまう
従来のCNTは、石油から作られた特別な材料を「1,000度を超える炉」で加熱して製造していました。このときに膨大な電気やガスを使うため、素材自体はエコに役立つものでも「作るときにCO2をたくさん出してしまう」という矛盾を抱えていました。
金と同じくらい高価で、普段使いができなかった
CNTには種類があり、狙い通りの性能を持つ綺麗なものだけを精製するには、ものすごく手間がかかります。その結果、1グラムあたり数万円から数十万円という「金(ゴールド)並みの価格」になってしまい、一部の特殊な宇宙開発や最先端実験でしか使えなかったのです。
材料に混ぜようとしても「ダマ」になって固まってしまう
仮に安くCNTが手に入ったとしても、CNTには「粉同士が磁石のように強くくっつきやすい」という特徴、クセがあります。オイルやプラスチックの液体に混ぜようとしてもダマになってしまい、本来の凄まじいパワー(強度や電気の通しやすさ)を発揮できないという現場の悩みがありました。
廃プラを資源に変える!環境に優しい秘密とは?
燃やすはずだった廃プラスチックをアップサイクルする
新時代のCNTは、本来なら燃やして処分され、空中にCO2として放出されるはずだった「廃プラスチック」を原料にします。いらなくなったプラスチックから炭素だけを取り出して製造するので、環境を汚さず、地球に優しい「資源のリサイクル」が実現します。
低い温度で製造可能、エネルギー消費が減る
独自の技術(特別な触媒)を使うことで、これまでのような超高温にしなくてもCNTが製造可能になりました。工場で使う電気や燃料が圧倒的に少なくて済むため、製品を作る一連の流れ全体でCO2の排出量をグッと抑えられています。
新しい石油を掘り起こさずに済む
石油を掘り出して使うのではなく、すでに世の中にあるプラスチックゴミを再利用、アップサイクルしています。これにより、限りある地球の資源を無駄遣いせず、世界情勢によって石油の値段が跳ね上がっても影響を受けにくい強い仕組みが作れるのです。
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なぜ「安く」提供できるようになるのか?
原料の調達が近場で可能、運搬費用がかからない
これまでは海外の特殊なプラントから高い輸送費を払って原料を運んでくるのが当たり前でした。しかし廃プラなら、街や工場から出たゴミをその地域で集めてすぐ材料にできるため、運ぶためのコストも排気ガスも削減できます。
安価になれば、身近な製品に一気に広がる
原料費と製造コストが安くなれば、これまで高くて手が出なかった自動車のパーツ、建物の塗料、スマホのバッテリー、エンジンの摩擦を減らすオイルなど、一気に身近な製品へ使えるようになります。更に大量生産が可能になれば、さらに値段が下がる良いループが生まれます。
地球に優しい会社を目指す「脱炭素」にどう役立つ?
「環境に良い原料を使っている」とアピールできる
今の時代、企業は「自社の工場」だけでなく「原料の仕入れ先」でどれだけCO2を減らしているかも問われます。製造時にCO2を極力出さないCNTを原料として選ぶだけで、企業全体の「環境への優しさ」を大きくアピールできます。
軽くて長持ちする製品の製造が可能、使用時も省エネになる
CNTを混ぜるだけで、金属のように強いのに軽いプラスチックが作れたり、車のエンジンのギシギシ感を減らして燃費を良くしたりうることができます。製品を購入したお客様の使用時にもエネルギーを節約できるため、二重で地球に貢献することができます。
投資家やファンから「本気で環境に取り組む会社」と評価される
「ごみを活用して性能を上げ、CO2も減らす」というストーリーはとても綺麗で明確です。口先だけでなく、実際に地球環境に貢献するテクノロジーを取り入れている会社として、投資家や環境を大切にするお客様からの信頼が大きく高まります。
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実際の製品に組み込むための「現場の工夫」
サラサラの液体の中に「均一に溶かし込む」分散技術
どれだけ安くて環境に良いCNTでも、固まってダマになってしまっては意味がありません。粉状のCNTを解きほぐし、オイルや塗料の中にバランスよく溶け込ませて「いつでも使える状態(液体)」にする分散技術が、実用化の一番の要になります。
今ある工場の機械が使用可能、無駄な投資がいらない
あらかじめ使いやすい液体にして現場に届けるため、受け取る側の企業は新しく高い機械を買い直す必要がありません。今使っている工場設備そのままで、すぐに新しい素材を試すことができます。
機上の空論ではなく「実際の実験データ」をもとに調整する
「自動車のエンジンオイルに入れたらどれくらい燃費が伸びるか」「自転車のチェーンオイルに注したらどれくらい軽くなるのか」など、実験データを一つひとつ積み重ねています。机上の計算だけでなく「現場で本当に効果が出る形」にチューニングして提供しています。
まとめ
よって、「安さ」と「高い環境性能(脱炭素・カーボンニュートラルへの貢献)」を兼ね備えた持続可能な素材へと生まれ変わりつつあります。
さらに、現場でそのまま使える高度な分散技術が組み合わさることで、自動車やエネルギー、各種製造業といった身近な産業での実用化が可能になりました。
プラゴミをCNTに変え、性能を引き上げながらCO2を減らす——。「持続可能なCNT」は、これからの製造業や脱炭素社会を力強く支えるキーテクノロジーとして、今後ますます重要な役割を果たしていきます。
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